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日記519


あらゆる場所に花束が……。

薄手の春っぽい、紺色のガウンをすこし前に買ったので、いい加減そろそろいけるのではないかとGUで買った大きめの白いフード付き半袖パーカーの上に合わせてみたのですが、なんかすごい魔法使いみたいになりました。

こんな格好でダウンタウンへ繰り出した日には、知らないひとから「あの、ハリー・ポッターに出演されてませんでしたか?」と聞かれてしまう。そしてわたしは恥ずかしさのあまりつい「エクスペクト・パトローナァム!!」と魔法の呪文を叫び、守護霊を呼び寄せてしまうだろう。どうかわたしを守ってください。

あるいは、ハリー・ポッターの世界観を信じ切っているひとに付きまとわれ「あなた、ホグワーツ魔法魔術学校の生徒さんですよね?」と決めつけ口調でかんちがいされてしまうかもしれない。「そうだとしたら、寮はスリザリンですよね?」と、寮まで当てられてしまう。そう、わたしは狡猾な者が集う寮、スリザリンに不本意ながらも組分けされてしまったのだ。スリザリンはいやだ。意地悪なマルフォイといっしょはいやだ。なんでだ。そんなに狡猾な人間ではないはずだ。ハッフルパフがよかったのに。心優しく勤勉でまっすぐな者が集う寮。まさにわたしのためにあるような寮である。わたしのいったいどこにスリザリンの資質があるのだ。マルフォイといっしょにするな。明光義塾に入ったほうがマシだ。代々木ゼミナールでもいい。東大を目指すんだ。東進ハイスクールで、あの黒々としたヒゲがセクシーなグラサン数学講師から教わりたい。数式はことばです。計算じゃない。でも、いまさら受験はしんどいな……。もういっそ、私立恵比寿中学に入りたい。アイドルになる、あたし。永遠の14歳。じゃなけりゃ、3年奇面組でもいいよ。それか区立友引高校で、宇宙からきた押しかけ女房に追いかけられたい。追いかけられたいんだっちゃ!うちはダーリンの妻だっちゃ!あれ、気づいたらわたしが追いかけている。でもいいんだっちゃ!ダーリン、大好きだっちゃ!と、そんな高校生活を過ごしたのち、卒業後は東京大学か、南河内大学に入りたい。南河内大学に入学できた場合、とうぜん応援団の親衛隊隊長になるのだろう。わたし、本名が青田赤道なんですよ。ほんで口癖は、役者やのう~。もう応援団に入るしかないわ……。困ったらとりあえず「ワシが親衛隊隊長、青田赤道である!!」と現場に喝を入れておけばなんでも丸くおさまるし。いろいろと混ざり合って現実も虚構ももうしっちゃかめっちゃかだけど大丈夫。おさまってる。なんにもはみ出てない。でも、シュークリームを食べると、かならずお尻のほうからクリームがはみ出ちゃうの。これは奇病の可能性が高いため、すぐにでも肛門科で診てもらうべきかもしれない。

はい。
話をガウンに戻します。

ガウンを着こなすに際してまず注意すべきと言われるのは、バスローブっぽさだと思います。そして、そのつぎに待ち構えているハードルが、魔法使いっぽさなんです。わたしはここで引っかかってしまう。でもたとえ魔法使いっぽさをクリアできたとしても、まだ次があります。それは占い師っぽさです。わたしの姉の着こなしは、どこからどう見ても占い師でした。見るからに、かばんに水晶玉を入れています。タロットカードも入っている。ジャラジャラした棒の束も。あの感じだと、マヤ暦のカレンダーまであるな。うん。

着てみて思ったのは、なんかガウンはスピリチュアルな雰囲気がただよいます……。魔法が使えれば魔法使いでもかまわないのですが、使えないから。飛べない豚はただの豚なのです。いつか使えるかな。「未来の服を着る」とたしか以前、書いていたと思う。いまは似合わなくとも。いいか。どうせいつかわたしは魔法使いになるんだ。ホグワーツにも通うだろう。スリザリンにも入れられる。わかってるから。ハッフルパフではないことくらい。いいよ。着れる着れる。魔法が使える、まだ誰も知らない、未来へ向けて……。








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