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日記572


きのうに引き続き2日目のカナブン。
2日目のカレーと同様に、よりおいしく写っています。
うまみが出て。

きのうとおなじカナブンです。
あなたを忘れない。


7月7日(土)


Tシャツの上に羽織る感じのシャツを買いました。
羽織りたいお年頃です。

お店で、もともと羽織っていたシャツを脱いで、商品の涼しげなシャツを試着していたら、ちかくにいた若い男性の店員さんからすかさず「お似合いです」と言われて、「そうですね、これ家から羽織ってきたやつよりいいですよね~」とこたえると、店員さんは返答に窮しておりました。困らせるつもりはなかったのだけれど……。

べつに、「その通り!おめえの小汚えシャツより、うちの商品のほうが断然お似合いに決まってんだろカスが!いいからさっさと買え!」くらいのことは言ってもらってもかまわないのです。かまわないのですよ。いいんだよ。

「店員と客」という立場の壁を分厚く捉えすぎているのだと思う。すこしくらい失礼だっていいんです。あくまで、わたしへの対応は。個別に、ひとを見て対応できるだけの柔軟性を身につけるまでは、むずかしいのかもしれない。個人を短時間で見極めることは至難の技でしょう。経験を積んで、機転を働かせる能力を相当鍛えないと。

たしかに、わたしの発言への「失礼にならない対応」は、すこしむずかしかったかもしれない。単純に肯定するだけだと、お客さまの私服をけなすことになるし、否定するとお店の商品の立場を危うくしてしまう。「店員と客」の立場を保った当たり障りのない返答としては「どちらもお似合いです」が正解なのだろう。

当たり障り。それほど慎重にならずとも、服屋にかぎらず、飲食店でもコンビニでもどこでも、どんなお店でも店員さんに対しては「もっと雑にらくしていいんすよ」と思ってやわらかく接しています。むしろ、そうしてほしいと願っている。

肩書なんか取っ払ったほうが、わたしは気分よくコミュニケーションが図りやすいのです。それに、もしわたしが接客を担当する店員の側になったとしたら、「雑にらく」なほうがだんぜん働きやすいのです。ストレスを低減できる。これは、ちいさな、ひそやかな、じぶんなりの社会運動です。わたしがらくをするための。言外に「らくしてください」と、言い続けたい。

他人同士の最低限の礼儀くらいは、わきまえていれば、あとは適当でいいと思います。息苦しいじゃないか。ときおり店員さんが、店員さんの態度を崩して気安くしてくれたとき、なんかうれしくなります。ほっとする。仮面をひっぺがして、ようやく顔が見えたな、というか。

しかし「個別対応」は時間がかかるうえ疲弊してしまうから、お互いに立場を演じている、という側面も忘れてはいけない。堂々と矛盾しますが、じつは「店員と客」のほうが、個別の名前と顔のある人間への接し方としては「雑にらく」なのでした。思考せずに全員「店員と客」を演じていればいい。一律、儀礼的に。「店員と客」のラインを踏み越えないように。そちらのほうが、一般的には、らくなんです。考えずに済む。立場に甘んじていればいい。

ああ、そうか。わかった。
気がつきました、いま。
矛盾しないように言い換えましょう。

わたしが伝えたいのは「らくしてください」ではなく「楽しんでください」なのです。わたしの欲望は「らくをしたい」ではなく「楽しみたい」なのです。「店員と客」だと、(わたしが)つまらないのです。退屈だから。お互い、楽しく時間を持ち寄りましょう。どうせ生きてんなら。ってなことです。客をさばくより、顔と名前と過去のある生きた人間をさばいたほうが、(わたしは)楽しい。

「わたしは楽しくしたいのです」と言い続けたい。
目の前に存在するひととのあいだに埋まっている、楽しみを掘り当てたい。
それは決して、らくなことでは、なかった。

つまり、わたしは人間関係において個別対応しかしたくなくて(「店員と客」の関係でさえ!)、接する態度としては個別のほうが楽しいのだけれど、その内実は、気遣うことも考えることも多く、結果としてすごくつかれてしまうのです。

他者と共になにかを楽しむことは、らくなことではありません。しかし疲弊するからといって、流れ作業で人間をさばくようなことも、心情的にあまりしたくなく、なにより退屈で、つまらない。「つまらなさ」とは、徹頭徹尾、向き合いたい。つまらないことは、せずに済めばありがたい。いや、「つまらなさ」を根絶やしにすることが、すなわち、生きることだとさえ思う。

総合すると結局、ひとりが好きなのだろう。ひとりは、疲弊しないうえに楽しい。最強ではないか。ひとりでも十分、どんな時間でも楽しめる。ひとりでいるとむしろ、楽しいことしかない。なにをしていても。

いま書きながら考えていたら、行き着いたところ。
とてもわがままで、ガキくさいと思う。
でも、正直に。





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