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日記593


思い描く抽象の人類ならば大いに愛せるが、生身の人間はまったくそうではない。という感覚のひと。べたべたした生身ではなく、清新な抽象にだけ考えが寄り添っているように見える。そんなひとがたまにいます。

いやー。おそらくだれにでも少しくらいはある。とくにクリエイターには多そうな(思想家にも多そう)。フィクショナルな領域にとり憑かれる。じぶんを含めた生身の人間よりも優先して、つくるべきフィクションがある。身体より永遠にちかいもの。もちろんフィクションも現実的な身体の効果であり、リアルとは補完的な関係をなすもの。

高畑勲は、これの激しいタイプだったのかなーと、鈴木敏夫のインタビューを読んで思いました。いや、こんなふうにかんたんにひとを解したように思ってはいけません……。じぶんにわかりよく解釈し過ぎている。悪癖。どこまでも解せないのが他人だった。

「緊張の糸は、高畑さんが亡くなってもほどけない」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #3


 そもそも、作家にせよ映画監督にせよ、何かを作って人に見せたいという人は自己顕示欲が強いわけですよね。それは高畑さんの中にもあったと思います。それと同時に、破滅主義で、自己滅却欲にも苛まれていたような気がします。その狭間で揺れ動いたのが、高畑勲という人だったんじゃないでしょうか。
 カリスマという言葉がありますけど、強烈な衝撃を与えられて、その人に何かがあると思えば、人はついていくんですよ。いい悪いじゃない。いちどその魔力に捕らえられたら、死ぬまでそこから解き放たれない。いや、死んでも解き放たれない。


いい悪いじゃない、魔力のような衝撃をもつひと。「いい/悪い」という短慮な価値判断では測れない「もの」の厚みを、その人間に認めてしまうこと。その対象が、ほんとうに魔力をあやつっているのか、厚みをもっているのかどうか、それはわからない。けれど、「魔力」を幻視させるふるまいの「もの」は、あります。高畑勲に限らず、人間に限らず。もの、です。じぶんにとっての「魔」を幻視してしまう、もの。

ヒトで言えば、種類はまるで異なりますが、たとえばいま話題の日本アマチュアボクシング連盟会長だった山根さん。社会的な「いい/悪い」は、ひとまず措くとして、「魔」の話をしたい。

しょうじき、見るからにあたまの悪そうなおっさんだけれど、それでも眺めていると画面越しでも妙な魔力をあのひとの内に認めてしまうことは否めません。へんに魅せられる。ファッションから態度から。なぜあれがありえているのか。あんなベッタベタな存在が組織の長としてアリなのか。魔力としか言いようがない。組織の長だからアリなのか。

体のいい、わかりやすい魅力ではない。でもなんかひっかかることは否めない。面白いからマスコミも追い回す。わかんないけれど、追えば追うほど魅力が増すような……。そんな「魔力」をストレートに幻視した取り巻きたちに担がれているのだと思う、いまも。

暴力をちらつかせて大声で恫喝するばかりでは、組織のトップなど務まらない。ヤクザの親分にも人徳はある。山根さんにだって、わたしのいる文化圏からはわかりづらい別種の魅力が、きっとあるのです。

あの人間の魅力を知りたい。取り巻きの山根派に「ねえねえ、山根(元)会長のどこが好きなの?」とインタビューしてまわりたくなる。指弾するだけではなにも見つからないだろう。理由はどうあれ付き従う人間が多くいるのだ。なにかあるはず。あなたが感じる山根(元)会長の魅力、素直におしえてよね!照れてないで、ちゃんと言いなさいよね!告白タイムが見たい。




誤って削除した写真を再掲。
動画も再掲。
ことばは消え失せた。
なにを書いていたっけ。





つくった動画とラップです。とりあえず完成させて、手放すと、とたんにどうでもよくなってしまう……。あるいは恥ずかしいものと化してしまう。字幕を一箇所ミスっているところが悔しいです。

友人と、互いに歌詞と音源をメールで送り合い、やりとりしながら、制作中あまり会うこともなくできました。動画は不遜にもわたくしひとりで。撮影と加工と切り貼り。きれいにまとまっていて、いけ好かない気もするからラップも含めて30分くらいの地獄みたいな超大作にしてもよかったかもしれません。

見せかけだけでもまとめてしまうと、なんだか腑に落ちる気がしてしまう。一生かかっても納得なんかできっこないことを表したい……。繰り返し過ぎてあたまがおかしくなってゆくような。きょうはげつようび、あしたはかようび、あさってはすいようびです。あれ?こないだもみんなきたよ。月火水。木金土日。またくるなんて、いったいなんの用だろう。用もないのにくるなんて、親友かよ。恋人かよお前ら。なれなれし過ぎます。こちらの認識としては、そこまでの仲じゃないから。えっ?好きなの?なんだ早く言ってよー。好きならしょうがないなあ。追い払っても、どうせまたくるんでしょ。どんだけあたしのこと好きなんだよーこいつらー。ちょーこまるー。でもいいよ、またね。付き合ってあげる。おやすみなさい。










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