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日記641


なんか積んでありました。
修行の痕跡です。

友人がわたしを盗撮した動画を送ってくれて、動くじぶんを久しぶりに見ました。あれ、なんかわたしみたいな奴が動いている!という衝撃。ふだん「動くじぶん」をあまりにも見かけないから、じつは植物ではないのかと疑問でした。動物らしいが、ほんとうに動いているのか疑わしかった。鏡の前のあいつは偽物。他者目線から俯瞰的に動くわたしを見ると、じっさいはこんなふうに動くのかーと勉強になる。わたしという動物の生態。やはり思っているより肩幅があるし、思っているより胸板が厚い……。もっと華奢で青白くて儚げで「萩尾望都の漫画に出てませんでした?」と街角でたずねられちゃうようなボーイがよかった。





さいきん気絶するように寝てしまう。力が一気に抜けて動かなくなる。脱力感が激しい。かといって眠りは浅い。わたしが生きているうちにいちばんほしいものは突き詰めると時間だ。出世欲はない。富も肩書もはっきりいってどうでもいい。世間的な「成功」にはひとつもあこがれない。「成長」も志向しない。おいしい食事もいらない。では、どういう時間がほしいのか。ただひとりの時間だ。歩く時間だ。眠る時間だ。笑う時間だ。考える時間だ。穏やかでいられる時間だ。できるだけ強制されない時間だ。「自由」ということばは使わない。この世に自由などありえないと思い始めた。いつも本を借りて、たまに音楽やラジオを聴いて、余裕があれば映画を観て、どこへも行かないまま遥か遠くへ行く、ただ一個の名前のない時間があればいい。あるいは愛するひとや、惹かれるものたちと過ごせる時間がほしい。それ以外は最低限度でいい。他人をどうこうしたいとか、なにかを所有したいとか、思わない。社会から命を脅かされたり、尊厳を踏みにじられたりしなければ。いや命はいつだって脅かされている気がする。eastern youth、吉野寿さんのインタビューを読んで思ったこと。


吉野:気持ちはおんなじでしたね。今もずっと一緒。要するに「冗談じゃねぇよ、殺されてたまるか」ってことですよ。黙ってると殺されちゃいますから。どうにか殺されないために押し返す。

一一殺されるというのは、何かの比喩ですか。

吉野:いや、本当に押し潰されるんです、世の中に馴染まない人間っていうのは。どこにも属せない人間は排除されて、村八分にされて、そいつが死ぬように仕向けられていく。周りの奴らは実際には手を下さないし、そいつが負けても「自分で死んだ」って言うんですけど、ほんとは殺されてるんです。そういうのがアタマにくる。冗談じゃねぇよ、なんでお前のために俺が死ななきゃいけないんだって。「お前が働かないから自業自得だ」って言われても「自業自得だろうが何だろうが俺は死なねぇからな?」ってことですよ。そのために俺には音楽とギターが要るんですよね。それ使ってまんまと生き延びてやるぞ、っていう。ほんと単刀直入に単純化して言うと、未だにやってることはそこに尽きると思いますよ。


「100回クジ引いて、ハズレっぱなしっていうのがいい」 - Real Sound | リアルサウンド

被害者ヅラすれば死にたくなるが、生きている限り全員加害者だ。誰かの屍の上で生きている。わたしにも「手を下さない」醜さはある。所詮、てめえの欲得尽くでしかない。吉野寿は手を下した。「そんならこれが俺の加害行為だ」と言ってギターを爪弾く。今朝、たまたまTumblrで見かけたインタビューをたまたま読み進めた数分間。「人に決められたくない」「押し付けられたくない」「人と出会えば出会うほど孤独になってゆく」「何かなかったらダメなんですか?」「空っぽ?いいじゃないですか。大丈夫だよ!」。まるでじぶんみたいな人だな。でもまったくちがう。わたしはクジを引く以前で足踏みをしている。いや、もう10回はハズレただろうか。まだまだ何百回もハズレるべきなのだろう。「そういう粘り強さが一番重要なんじゃねぇの?」と言われてしまった。

わたしの求めるものは、いちばんのわがままでいちばんの困難でいちばんの贅沢というものだと思う。わかっている。わがままが過ぎる。誰のせいにもできない、したくない。時間のある生活はいまのところすぐには望めない。それを目標にいまのうちから布石を打ってやりくりするしかない。しかし脱力感が激しい。からだを横たえるともう動かないから、家でも眠る時間以外は立っている。宮崎哲弥がむかし「寝ちゃうから」と立ってラジオに出演していたことを思い出す。座ることもできるだけしない。

前の記事にあげたラップは、「意味不明」と言ってみたもののじぶんなりのプロテストでありアゲインストであったのかもしれない。あとづけで適当に思う。矛盾を厭う世界に、意味や押しつけだらけの素晴らしき有意義な世界に。わたしから眠りを奪う世界に。わかりづら過ぎるな。笑いながらつくったものだ。反抗だって笑えないといけない。マジメなツラなんかしてられっかよ。中指を立てるときも、笑顔で礼儀正しくね。

なんか脂ぎった文章になっちゃったけど、こころは冬の乾燥肌で澄んだ空気です。爽やか3組です。




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