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日記666



1月22日(火)


歯医者さんへ行く。口の中をきれいにしてもらう。欠けた前歯の修復については少し時間がかかるという。また歯ブラシを握らされる。「左利きでしたっけ」とおぼえていてもらえたことはうれしかった。正確には「歯磨きだけ左利き」です。アゴも左の使用が多い。首から上に関する場合は左なのかも。頭は左、ボディは右。

口の中をいじられながら、瞑想にちかい感覚でいました。触覚に意識を向ける。日常的に瞑想をしていると、ヒマなときすーっとそこへ逃げ込めるから便利です。意識の避難所を手に入れたような。たぶん瞑想は死ぬまでつづけていると思います。

歯ブラシをもらって、帰る。

掃除をしてもらうと気持ちが良い。
歯医者さんはサボらず行こうと思う。




1月23日(水)


朝から人間ドック。初めての。

早めに起きて、早めに到着した。入り口で整理番号を発行。kindleを片手に待つ。0円でダウンロードした横光利一を読みながら。途中、となりに座ってきた年配の女性に話しかけてみる。過剰なまでに手をこすっていたので「寒いですねー」と。冷え性でたいへんらしい。「手足の感覚がなくなっちゃう」とおっしゃっていた。そいつはたいへんです。やたらヒョウ柄を身に着けていて、「ヒョウ柄お好きなんですか」と聞いたのちに「いいですね、お似合いですよ」とほめる。とにかく人をほめていきたい。「人を喜ばせたい」なんつう不遜で押し付けがましい気持ちからではない。主に自分の精神修養のため。修行僧かお前は。

番号を呼ばれ受付に向かう。受付の男性はこちらの顔をまっすぐに見て目をそらさない。かつ低姿勢だった。低姿勢からの圧力がすごかった。目力。案内を受けて、検便を提出。

検査着に着替える。更衣室に入ると、音楽が流れていた。トニー・バジルの「Hey Mickey!」だった。なんでやねん。どういうつもりやねん。これで検査着がチアリーディングのコスプレだったら完璧なのに。ミニスカートではなく、ふつうに病院の患者っぽい服に着替えた。





どういうつもりかは不明だが、気分の上がる曲であることは確かです。自分の世代だとガレッジセールのゴリさんがやっていたゴリエバージョンを思い出す。フジテレビの番組から流行ったやつ。ゴリエはこの曲でNHK紅白歌合戦にも出演していた。紅白では、チアのパフォーマンスとして人文字でフジテレビの目玉マークをつくる演出があった。それを後日、伊集院光さんが深夜のラジオ番組で気持ち悪がっていた。

NHKの予定調和的な寛容演出。お笑い芸人もサブカルチャーもどんどん消毒済みで陳列される。そんな時代の象徴が紅白歌合戦のようにも思う。綾瀬はるかさんや広瀬すずさんのぐだぐだな司会も「ぐだぐだな司会」として計算通りパッケージングされ、愛でられる。どう?このぐだぐだ感。いいでしょ?そんな「楽しみ方」は内輪の論理でしかありえない。「サブ」の本領であった「内輪的ゆるさ」がメインストリームに浸潤する。すべてが鍵括弧でくくられてゆく。「内輪」が広がる。日本はある部分でどんどん内向きの、ドメスティックな国になっていると思う。「ガラパゴス化」というのか。グローバル化と比例するように内向も加速する。そのことは良くも、悪くも解釈できるのだろう。わかんない。価値判断は留保する。

と、ここまでが「Hey Mickey!」から引き出される記憶のおおよそだった。これにめでたく人間ドックの更衣室が追加された。わたしの記憶は音楽を軸に構築されているように思う。

はじめに腹部の検査。椅子に浅く腰掛けて瞑想をしながら待つ。隙あらば目を閉じて姿勢を正し、深い呼吸をしている。呼ばれて、寝ながら腹を出す。わたしはおなかに弱い。この時点でもうくすぐったくて仕方がない。触れられてもいないのに。なんか塗られたとき「ちょっ、すいません、やめて」と笑いながら言ってしまう。敏感すぎてキモいと思う。こどもかよ、と思う。検査してくれた女性に笑われてしまう。べつにみんなが笑顔になるんだったらかまわない、と男性的なヒロイズム思考で恥ずかしい気持ちを落ち着けながら次へ。

採血。針が腕に刺さるところを凝視していた。ベテランの看護師さんみたいで、ぜんぜん痛みはなかった。血がピューピュー出ているところはさすがに目をそらす。やだこわい。止血してもらって、身長・体重・視力・血圧・腹囲を測定。身長は173cm。体重58kg。腹囲71cmだったかな。そのくらいの男がいたらわたしです。

次に採尿、そしてレントゲン的なやつとバリウム検査と心臓の検査。バリウムは、なんであんなぐるぐるまわされるのか。しかもゲップを我慢しながら。おもしろ過ぎる。どんな偉い人もあれをやると思うとやさしい気持ちになる。現代の奇習。終わったら口をすすいで、バリウムが腹に溜まらないよう下剤を飲む。

下剤の効果は個人差あるものの、だいたい6時間後くらいと先生が言っていたが、30分ほどでくる。このことから、自分は胃腸がそうとう過敏なのだとわかった。うんこ早出し選手権があったら優勝できるレベル。東京オリンピックで金メダルを狙える早さ。TVチャンピオンでやんないかな。どんな食いもんも一瞬で下してやるぜ!

おなかがくすぐったいのも胃腸が過敏なせいか。
ちがうか。

で肺活量。「思いっきり吸って!吸って!全力で吐ーく!!」みたいな感じで煽られる。その通りに全力でやった。素直な心がだいじ。吐いた直後、なんか心配された。「大丈夫ですか?」という声かけに息を吸う音で返事をする。看護師さんとふたりで笑う。それから「十分な値ですよ」と言われる。「そこまで本気でやんなくてもよかったよ」という意味だろうか。結果は4800mlくらいだった。

さいご、声が高くて早口の内科の女性医師に呼ばれる。おなかの聴診と打診。これもくすぐったかったけど、真顔でこらえた。結果について「尿酸が高いね!」と言われて「へーそうなんだー」と思う。そのまま「へー」とリアクションをすると「へーじゃないよあなた!自分のことなんだから!へーじゃないよ!」と、述べつにまくしたてられる。確かに他人事みたいなリアクションだったなと反省。

魚卵を食べないなら、酒かストレスが原因らしい。たびたび襲いくる腹痛のことを話したら「過敏性腸症候群かもね」という。それは前から自覚があった。そうなのかー。ふーん。と他人事のように思う。「尿酸と心臓以外はオールA」とのこと。心臓は不整脈。

おそらく自分はメンタルのケアさえできていれば腹も下さず健康でいられるのだと思う。いまのところ。精神面の自己管理は徹底したい。瞑想もその一環。食事はそのために最適化する。食には楽しみもこだわりもない。まいにち同じものを食べていてもぜんぜん平気です。基軸のメニューを決める。精進料理みたいな。もうお坊さんになるべきか。ルールはゆったり運用で適当に。お坊さんにはならない。

帰りに日記帳を買う。1月のことは誰も覚えていないだろう。年末にはもうなかったも同然になる。睦月は忘却の月。手書きでいろいろと記す。メモ帳の代わりにも使える。いつも持って歩こうと思う。

今週は月がきれいでした。
来月にはもっと、2019年でいちばん大きな月が見られるそうです。




コメント

anna さんのコメント…
「Hey Mickey!」は、なんかの余興で踊らされた記憶があるなあ。当然できないし、ぐだぐだでしたけど。
健康診断特に大きな問題なくてよかったですね。以前、前日の晩ご飯に辛子明太子食べた翌日、健康診断うけたら、所見に「特に問題ありませんが、魚の内臓の取りすぎに注意しましょう」と書かれたことがありました。なんでわかったんだろう、不思議。
nagata_tetsurou さんの投稿…
「踊らされる」ってイヤですよね。どうせなら自分から積極的に踊れる踊りを踊りたいもの。

ええ、健康がなにより。だけど最悪でも死ぬだけなので平気です。死ぬなんてみんなやるふつうのこと。余裕余裕。

おそらくannaさんは、魚の内臓をよく食べていそうな顔をなさっているのだと思います。お医者さんにはわかるんです。たとえばヒグマっぽい顔だと、このひとたぶん川で鮭を捕らえてるんだろうなーとか。それが現代医学の知見です。