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日記781

 

この写真を撮りながら、なぜか「ベクション」ということばを思い出した。なぜか。視覚誘導性自己移動感覚。英語でvection。実際には止まっているのに、視覚的な効果で移動しているかのような感覚になる現象のこと。

 

停車中の列車から、動き出した別の列車を見ると、あたかも自分の乗っている列車が動いているように感じることがある。これは、日常生活でしばしば経験できるこの現象の一例である。

視覚誘導性自己移動感覚 - Wikipedia

これを「トレイン・イリュージョン」と呼ぶらしい。日常にひそむイリュージョン。なんにでも名前がついている。

なぜベクションを思い出したのか。おそらく妹尾武治と鈴木宏昭の共著『ベクションとは何だ !?』(共立出版)の紹介文から派生したのだろう。数日前に読みたいと思い、メモしていた。

 

ベクション(視覚誘導性自己移動感覚)というニッチな心の現象について徹底的に知るための、これでもかというほどの情報を盛り込んだ驚くほどニッチな一冊。


適所、隙間、生態学的地位などを意味するニッチ。写真の変なステッカーはまさに「驚くほどニッチ」な位置に貼られている。狭い地位にぴたっと。適材適所という感じ。キーワード、「ニッチ」から転じてベクションが思い起こされたのだと推察する。

記憶の引き出しは自分のコントロール下にないと、つくづく思う。勝手に引き出されたり、勝手にしまわれたり。記憶は記憶で勝手にやっている。わたしには無意識が高速でやってのけることを、あとから意識的に追いかける癖がある。目を覚ましたとき、ぼんやり夢の意味を解剖するように。

歩くとか立つとか、無意識にできるかんたんな動作も「これ、どうやってんだろう?」とよく思う。意識ってやつはどんくさい。なんもわかってない。後追いの産物。ぜんぶあとづけ。「わたし」なる人物も、後追いの産物だろう。いつもおくれてやってくる。というか、探さないと迷子になる。見つからんと実在が危ぶまれる。



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