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日記912


7月20日(水)

Amazonで芝刈り機をえんえん検索しているおっさんがいた。満員電車内。30分くらいやっていたと思う。べつのおっさんは、「バック・トゥ・ザ・フューチャーでビフ・タネンを演じた俳優の現在」みたいな記事を熟読していた。さらにべつのおっさんは、異世界転生ものの漫画をものすごいスピードで物色していた。背後ではお姉さんたちが「シックスパックのかたちをした脂肪」について会話中。わたしは幸田文の『動物のぞき』(新潮文庫)を読んでいた。このように、電車内ではふだん隣り合うことのないであろう世界観が高密度でぎゅうぎゅうに隣り合っている。たのしい。

おなじものを見てみんなで盛り上がる感じが苦手。満員電車でべつべつのものを見て、いっしょに揺られていたほうが心地よい……。さいきん芽生えた感覚というか、たどり着いた境地というか。もちろん「ふだん隣り合うことのないであろう世界観」であるがゆえに、危うい緊張感もある。きょうも無事に帰宅できてよかったと思う。

では、世界観が似た人間とふだん隣り合っているのかというと、そんなこともない。そんな奴、ひとりもいない。満員電車のような「ランダムされた関係」がふつうなのだろう。「おなじものを見てみんなで盛り上がる感じ」はきわめて特殊。だから盛り上がる。ちぐはぐなふつうと、同質な特殊。なんかおもしろい対比。

直感的になんかおもしろいけれど、次の展開は思いつかない。直感を胸に寝る。

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