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日記918


7月28日(木)

「パフェは権力者の食べ物」。すれ違いざまに知らない人が話していた。辻斬りに遭った気分だ。頭から離れない。たしかに、権力者邸の蛇口からは生クリームとか出てそう。生クリームとアイスクリームの温度差を舌の上で出会わせながら恍惚の表情で訓示を垂れる社長になりたい。ならなくちゃ。絶対なってやる。

夕食、キャベツの切れ端に味噌をつけてかじっていた。あと、わかめスープ。スーパーで買った焼き鳥。白米。カルキ臭い水。

今朝、カントの『判断力批判』にある「無関心性」の話を聞きかじって、その感じはなんかわかる気がするなーと思った。「美しいものに対する喜びはいっさいの関心を離れたものである」。そういえば、日記715にこんなことを書いていた。

 

冬は西日の色がいい。角度もいい。しかし西日の側からすれば射しているだけ。「いい」だの「悪い」だの、どうだっていい。ただまわっている。それがうれしい。いくらほめても、けなしても微動だにしない。文字通り、空を切る。通じない。ぜんぜん通じない。そんな世界に自分がいる。なんら通じなくとも。「通じなさ」を基礎とした世界に。

 

要は「夕日がきれいだったよ!」と言いたいんだけど、そのことばを避けて迂回すると上記ような感覚があらわれる。「通じなさ」を基礎とした世界。美の無関心性。カントの考えは措くとして、動物と戯れていても思う。通用しない愛おしさみたいな、そんな感覚はむかしからある。みんな遠くにいる。星に願いをかけるとき、あなたが誰かは関係ない。

先週行った中華料理店のカレンダーに、「言い訳は聞き苦しいだけでなく、同じ失敗を繰り返す元になる」と書いてあったことを、いま急に思い出した。7月の格言らしい。なるほど一理ある。しかし言い訳や愚痴のひとつくらい言えたほうがらくでしょ、とも思う。どっちでもいい。適当にやるよ。8月の格言を見るために、また行く。

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