かわいいの撮れた。爬虫類が苦手な人にも、この写真はかわいらしく思ってもらえるのではないだろうか。鼻先だけ出して、じっと。なんて愛らしいのだろう。辺りをうかがう真っ黒なひとみ。撮った直後するっと這い出て、草陰に消えた。 数日前、『読書で離婚を考えた。』(幻冬舎)という本を読んだ。円城塔と田辺青蛙、作家ご夫婦の共著。相手に読ませたい本を指定して、むりやり読ませあうエッセイ。タイトルは大袈裟。むしろ良い夫婦仲が垣間見える。 噛みつくにせよ距離感をわきまえているというか……いやちがうな、噛みつけど噛みつけど噛み合っていない。空を噛んでいる。そこがおもしろい。互いに互いのことを「おかしな人だなぁ……」と不思議がっている感じ。ぜんぜんちがうふたり。 どちらかといえば、わたしは几帳面な感じの円城さんにシンパシーを抱く。田辺さんの気まぐれさもなんとなくわかる。でも円城さんの感覚は、僭越ながらごく一部とても似ているとさえ思う。たとえば、こんなところ。 どうも世の中、筋道の立てようもなく雑然として混沌としたものがほとんどである――とわかってきたのは、ついこの頃のような気がします(ま、結婚以来ですかね)。世の中、全然きちんとしていない。もっと頑張れ、物理法則とか論理とか整合性とか。 ボケに突っ込み切れると思ってはいけない、ということでもあります。正気でいると突っ込み疲れるナチュラルボーン・ボケ宇宙に僕たちは住んでいて、真面目そうな顔をしていられるのは、突っ込み疲れて頭が麻痺しているだけなのでは、と思ったりもするわけです。 p.36 そうそう、宇宙はボケ倒している。わたしも「世界が広大無辺のボケに思えて仕方がない」と 日記712 に書いていた。マジで論理とか整合性とか、もっと頑張ってほしい。物理法則のやつは、わりとまいにち頑張っていると思う。わたしをちゃんと地球に留め置いてくれているから。 地球の引力にそっぽむかれて、落ちても、落ちても、着くところがないような、 悲しいことにはならない。 だらしがないのは論理と整合性、お前らだ。きちんとしろ。ビタッとカチッと、お願いだから。そうじゃないとこわいから。ぜんぜん説明がつかないから。人間もふくめたこの世界のボケっぷり、ちょーこわいから。おもしろいボケもなかにはあるけれど……。 生きているかぎり、宇...