キングオブコント。みんなおもしろかった。梅田サイファーの新曲が聴けるのもうれしい。今大会の個人的な好みは、しずる。うるとらブキーズ。トム・ブラウン。の3組でした。 うるとらブキーズは多くの人が指摘する通り、早とちりで噛んでしまったのが惜しまれる。言い間違えが伝染に伝染を重ねグルーヴを生み出していくようなネタ。なにが間違いで、なにが正しいのかわからなくなっていく。ことばが意志に反して組み変わっていくさまを、意志的に演じないといけない。演技のむずかしそうなネタだったと思う。「噛み」はほんとうに伝染するから、細心の注意を払わなければ。じっさい、司会のダウンタウン浜田にも伝染していた(浜ちゃんも狙って噛む演技をしていたのだ!という人もいる。わたしは天然だと思う。どっちでもいいけど……)。 トム・ブラウンは出だしの「コント、エリザベスカラー」からもう最高だった。題名なんか言わずに、ぬるっと始まるのが主流のなか、ベタベタながらも唯一無二の演出。真正面から行く感じがうれしい。「このネタこういう伏線があってこうで……みたいなのあんまり興味ない」と布川さんが事前のインタビューでおっしゃっていて、その姿勢にとても共感する。わたしはバカが好きだ。ただのバカが見たいだけなのだ。 アメリカ文学研究者の都甲幸治さんが「ピンチョンを高偏差値な人々からバカの手に奪回せよ」とどこかに書いていて「イイハナシダナー」と感じ入ったことを思い出す。賢しらな考察も批評も、楽しいことは楽しいが、どうでもいいんだ。わたしは記憶よりずっと、忘却を欲する。なにもかも忘れたい。笑っていたい。重要なのは、いま。その一瞬。それだけなの。 もうすこし具体的にいうと、ことばの回路をショートさせてほしい。それが願いかもしれない(具体的か?)。ことばは自分にとって、孫悟空のあたまの輪っかみたいな、きつく抑えつけ制御する/される機能を果たしている。その言語的な縛りを常日頃、人一倍うるさく感じているがゆえに、忘れさせてほしいと願っている。 その観点でいえば、しずるのネタはまさしくセリフがほとんどない。B'zの「LOVE PHANTOM」に合わせた口パクでひたすらヤクザの抗争を演じる。ことばがぜんぜん関係なくて、ほんとうにうれしい。会場ではすべってた(?)みたいだけど、個人的にはいちばんよかった。自由を感じた。ちょうど「LO...